「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」其の弐

シリーズでお届けする「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」。第2回目は、靴磨きをする上での「仕上がりイメージ」について。長谷川裕也が熱く語ります。

皆さんこんにちは!押忍!前回から始まりました熱烈靴磨き道場ですが、しょっぱなから精神論から始まるという昭和の男感まるだしの話で重くなってしまいましたね。ただこの靴磨きはじめる前にどんな風に目の前の靴を磨き上げていくかのイメージを沸かしてから取り掛かるのとそうでないとでは使用する道具も変わったりするわけなのでとても大切な事なんです。

例えば今回はサラッと短時間で仕上げようなんていうライトな靴磨きをするときはクリーナーは落とし過ぎないように弱性の物を選ぶようにしたり。と、道具のチョイスも変わってくるのです。なんて固いことを言いながらも、逆にやりながら靴との対話を通して工程や道具を変えていくなんて言う即興ライブのようなスタイルももちろん良いと思います。まさしく靴とのジャムセッションです。

では今日は仕上がりイメージについてお話ししたいと思います。僕ら靴磨き職人が磨く前にお客様によく聞くのが「こちらの靴はどんな感じで仕上げますか?色はこのままで良いですか?ツヤの好みはありますか?」というようなことは確実にお伺いします。

そうです、磨き工程に入る前に最初に決めておきたいのがこの「どのクリームを使うか?」「ワックスはどのくらい、どんな風に塗って光らせていくか」という2つです。

革の色を濃くしてアンティーク調に仕上げたい場合は”革より2トーン濃い色”を塗りますし、逆に明るくしていきたい場合は”無色のクリーム”もしくは”油性クリームの革より1トーン明るい色”です。基本的に革の色をクリームで明るい色にするのは難しいのでこの”油性クリーム”をチョイスするといのが肝になります。

分かりやすいようにこのように片足はTHE CREAMのMBRWをもう片足は色を変えないようにNTRを塗り込みます。先に2トーン濃い色とお伝えしましたがクリームの中に入った染料では少し濃いくらいの色では革の色は変わらないので2トーン濃い色を塗ることをお勧めしています。

そうしますと同じ革なのにこんなにも色の変化が起きます。

全体の色のトーンが落ち着いた上に履きこんだような渋い雰囲気も出てきましたね。このようにただクリームを塗ると言ってもチョイスが違うとこんなにも靴は変わってしまうのです。そしてそのあとに使うワックスの艶に関しても”じんわり光らす”のか”ピッカピカに光らす”のかによって塗るが変わります。

また上記の色合いを決める上でワックスもクリーム同様に色を決めていきます。今回はKIWIのMBRWのワックスを使用して両方とも磨きました。※ちなみにワックスを塗る前に色を合わせるために左足の方もTHE CREAMのMBRWを塗って両方の色を合わせています。右足は艶を出さずに仕上げて左足はじんわり光らせるように仕上げてみました。するとこんな感じです。

どうですか?同じワックスを使って磨くでも光らせる具合でこんなにも靴の表情は変わります。すごいですね靴磨きって。まるでお化粧です。こういった明るい色のローファーは基本的にはカジュアルシューズになるのであまりピカピカに仕上げたりしないのですが、このようにしっかり艶を出して光らすことでまた違う雰囲気が出てきてこれからの秋冬シーズンに履いても良い靴になりましたね。

このように完成イメージを持って磨きに取り掛かることで大きな違いが出てきます。とすでに其の弐にしてすでにかなりディープな靴磨きの話になってしまいましたが次回は改めて靴磨きの全工程の大まかな説明をご説明していきます。其の参もお楽しみに!押忍押忍!!

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