パリ靴磨き漫遊記・後半戦

パリ靴磨き漫遊記の後半戦は、聖地Crockett & Jonesでの職人との邂逅から、熱気溢れる展示会「MAN/WOMAN」での真剣勝負、そして蚤の市での運命的な買い物劇まで、濃密な日々の連続。パリジャンの足元を磨き上げる中で確信した、言葉を超える「靴磨きの可能性」と「日本の美学」。その魂を揺さぶる旅の全貌をお楽しみください。
さてさて、前回の続き。今回はパリ靴磨き漫遊記・後半戦を、引き続き長谷川節でお届けします。
パリ到着6日目。この日の舞台は、靴好きなら誰もが胸を高鳴らせるCrockett & Jones パリ店。1997年にオープンしたロンドン店の翌年に誕生した直営店で、歴史と品格が空気にまで染み込んでいる名店です。扉を開けた瞬間、「あ、ここは靴が主役の場所だな」と背筋が伸びる、あの感じ。

そしてこのパリ店がとんでもなく特別なのは、ディミトリー・ゴメスというビスポーク職人が在籍していること。彼は今や名作と呼ばれるハンドグレードラインの木型を生み出した当の本人。日本のクロケットファンなら一目でわかる、あの美しいフォルム。そう、あれは彼の作品なんです。
で、驚いたのは技術だけじゃありません。人柄がまた最高。豪快さと温かさを併せ持つ“ザ・職人”。太っ腹にも工房を案内してくれただけでなく、なんと普段は公開していないラストを保管している“秘密の部屋”まで見せてくれました。「ここまで見せていいんですか?」ってレベル。靴好き冥利に尽きる時間でした。

この日の靴磨きは満員御礼。たくさんのパリジャンの足元を磨かせてもらいました。「パリジャンはあまり靴を光らせない」と聞いていたので半信半疑だったのですが、「グラッサージュ(鏡面磨き)はどうします?」と聞くと、返ってくるのは「もちろんピカピカにしてくれ!」の嵐。もう嬉しくて、こちらも本気モード。結果、店内は笑顔と輝きで大渋滞。靴も表情も、しっかり光らせてきました。

翌日は、ヴァンドーム広場のすぐ横で開催された展示会「MAN/WOMAN」へ。事前に「靴磨きのワールドチャンピオンが来るぞ!」と告知していただいていたおかげで、朝から大忙し。ここはParabootやAldenをはじめ、名だたる革靴・ファッションブランドが集まる、パリ・ファッションウィーク名物の展示会。世界中のファッション関係者が行き交う、熱量の高い空間です。
そんな中で感じたのは、やはり「靴磨き」という行為自体は、まだまだ認知が低いということ。でも裏を返せば、まだまだ広げられる余地があるということでもある。「伝えていくしかないな」と、改めて腹が決まりました。
パリには、日本のような“靴磨き店”と呼べるお店はほとんどありません。だからこそ、日本がどれだけ独自に靴磨き文化を発展させてきたのかを強く実感します。身嗜みへの意識、細部までこだわる国民性。これはもう、日本人ならではの美学ですね。

そして最終日。空港へ向かう前、朝一で蚤の市へ。そこで偶然見つけたPRADAの看板に一目惚れ。40ユーロを30ユーロに値切ってご満悦で空港へ行ったら、手荷物サイズオーバーで追加料金170ユーロ。……チーン。でもまあ、良いモノとの出会いはプライスレスということで。

最後の写真は、1日フリーの日に訪れた憧れの場所。ベルギー・アントワープ王立芸術アカデミー前での1枚。ファッションの聖地に立てたことも含め、最高のシューシャイントリップとなりました。
これからも
「世界の足元に革命を」
をモットーに、世界中の足元を輝かせていきます。
さて、次はどこの国へ行きましょうか。