コードバン磨きのコツ
コードバンの靴は、靴好きにとって憧れの存在。その希少な革の美しい艶は「革の宝石」とも称されますが、水に弱く、履きじわが白く曇りやすい特性があります。今回は、現靴磨き日本チャンピオンの新井田隆が正しい手入れ方法を紹介いたします。美しい靴を長持ちさせるためのコツを学びましょう。
靴好きなら誰もが一度は手にしたくなる靴、それは”コードバンの靴”です。馬のお尻の中心部にしかない”コードバン層”と呼ばれる革の芯の部分を削り出し後、毛羽立ちを抑えて艶を出した大変希少な革です。その独特な輝きは革の宝石と喩えられるほど…
そのコードバン、素晴らしい艶がある一方で弱点があります。水に弱く、履きじわが白く曇りやすい。革の芯分ならではの特徴が弱点となってしまいます。なので、靴磨きをする際もコツがあり、その点を今日は解説していきましょう
本日の担当は現靴磨き日本チャンピオンの新井田隆です。磨かせて頂くのは、Aldenのロングウィングチップコードバン。とても良い感じに育ってきている一足ですね。近くで見るとシワの部分が白っぽく毛羽立ちが出ています。この辺りをしっかりケアしつつ、最高のコードバン靴に仕上げていきましょう。
まずは汚れ落としから。コードバンの汚れ落としのコツは「表面を傷めないよう汚れ落としをする」です。水分の浸透が早いのであまり強い液体クリーナーなどで汚れ落としをすると革の表面がガサガサになってしまいます。
ぜひ汚れ落としは固形のクリーナーである”THE CLEANER for mirror shine”ことミラクリを使いましょう。革を傷めることなく表面の汚れをきれいに除去できます。
その次のコツは「毛羽立ちをつぶす」です。革の曲がる部分が毛羽立って白くなってくるので、そこをグリグリと擦って毛羽たちを抑えます。その際にはアビーホーンやカッサ棒などがあればベストですが、ない場合は角が立っていないもので擦ってあげると綺麗になります。
毛羽立ちを抑えた後にTHE CREAMをたっぷり塗り込みます。THE CREAMはAldenのバーガンディーに色を合わせているので完璧な相性になっています。それを指でしっかり塗り込み、革の奥まで浸透させていきます。コードバンの革は吸い込んでいく様子が感じ取りにくいのですが、革は間違いなく反応しておりますので信じて塗り込みましょう。
その後に再度シワの部分をグリグリと寝かしつけます。クリームを塗った後に再度やることでよりシワの毛羽立ちが抑えられ、美しい光沢が出てきます。
最後はもちろんワックスで鏡面磨きを施します。この際もTHE WAXのようなハードワックス(油分が少なくロウ分が多いワックス)はコードバンとの相性が最高です。たっぷりとワックスを塗りこんで革の表面をより平滑にしていきましょう。
鏡面磨きの際に水を少なめにするのもコツです。カーフなどに比べ8割くらいの水量で鏡面磨きをすることで、水が染み込みやすいコードバンでも失敗がなくきれいに仕上がります。
そして磨き上がりがこちら。シワの部分もかなりきれいに表面が整って美しい状態になりましたね。
今回は左足だけ磨いて左右でBefore &Afterがわかりやすいようにいたしました。革全体が潤い美しく輝いていてうっとりしてしまいます。このように革の特性を把握し、磨きの技術や道具に反映させることでご自身の靴も美しく仕上がります。
そうは言っても「雨シミで水ぶくれが起きてしまった」「艶が戻らない」などあれば、無理して色々とやって革をダメにしてしまう危険もあるので、その際はいつでも僕らにお任せください。どんな状態でも最善の方法で美しく仕上げますので、”オンライン靴磨きサービス”をご利用ください。
やっとこさ涼しくなってきてファッションが楽しい季節が到来しました、ぜひ足元も楽しんでいきましょう。