「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」其の漆

シリーズでお届けする「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」。第7回目は、靴磨きをする上での「第4工程目」について。長谷川裕也が熱く語ります。

靴磨きをとことん詳しく伝授する熱烈靴磨き道場、今回は全16工程のうちの4工程目にあたる“コバを整える”です。“コバを削る”という表現だとジャリジャリ削って逆にコバを傷めかねないので整えるという感覚を大切にしましょう。

まずコバを整えるのには紙やすりを用意します。番手は280番くらいがお勧めです。あまり荒い紙やすりを使用するとコバがザラついてしまい逆効果になるので280番手くらいがちょうど良いのです。

そもそもなぜコバを整える必要があるのかと言うと、靴の足元に当たるコバですがこの部分が美しく光沢が出ないと最後仕上がったときにどうもまとまりが出ない。例えるならば車体はピカピカなのにホイールが泥だらけの車のようなものです。

アッパーを美しく輝かせるほどにコバもしっかり磨く重要性が高まります。コバは靴底と一体で地面に触れる部分です、一番摩耗して汚れやすいのでしっかり磨いてあげましょう。「コバを制する者は靴磨きを制す」とはよく言ったものです。

コバを削る際に一番注意しないといけないのが「アッパーを傷つけないこと」です。そのために紙やすりの端っこでコバに触れましょう。こまめに折りながらアッパーに当たらないように気を付けながら行います。

コバの表面を紙やすりで擦ると「ザラザラ」とした感触があると思います。その「ザラザラ」が「サッサッ」となるくらいに表面が綺麗になれば大丈夫です。しつこいですがあまり削り過ぎてしまうとコバ自体が減って靴にとっても良くないので「表面のザラつきだけを取る」というのを忘れずに。

一つここで裏技を伝授します。コバがあまりにも荒れてザラツキが酷い場合は紙やすりで整える前に濡れ雑巾でコバ全体を濡らしてからやすり掛けするとザラツキがきれいに整います。不思議なもので、革は濡らしてから擦ると光沢が出る性質があるのです。この性質を活かしてこの方法を使うと状態が酷いものも美しく仕上がります。

靴全体のコバを美しく整ったら完了です。指で触ってみてスベスベするのを確かめてください、きっと買った時の新品のコバを思い出してもらえるはずです。“神は細部に宿る”という言葉がぴったりな工程でした。

さて、次回は5工程目にあたる“コバインキの塗布”です。一つ一つの丁寧な工程の積み重ねが最後の美しい仕上がりに繋がります。次回もコツが満載なのでしっかり学んでいきましょう!本日はここまで!皆さん2月も美しい足元で過ごして寒い冬を乗り越えましょう!ではまた!押忍!

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