「靴磨き職人探訪記」 part2 Mr,Ryo Suto(Astla)前編

シリーズでお届けする「靴磨き職人探訪記」。世の中にはたくさんの素敵な靴磨き職人がいる!第2回は「青森で唯一の靴磨職人として活動を続けNHKにも特集され、先月待望の新店をOPENされた須藤稜さん」をお尋ねします。

・靴磨き職人になったキッカケはなんですか?

キッカケは新宿伊勢丹で開催された“靴博2019”ですね。そのイベントで長谷川さんに磨いてもらおうと思って行ったらお昼休憩のタイミングでいなくて、その時に現Brift H SAPPOROの靴磨き職人林田さんがいらしたので磨いてもらった時に色々と話をして「青森で靴磨きやっていきたいんですよね」という話をしたら「須藤さんまだ若いので夢を追いかけても良いんじゃないですかね」と背中を押してくれました。北海道も青森と同じ雪国ですのでそこで独立してやっている林田さんにそう言ってもらえたのは心強かったです。

そのあとすぐに帰郷してから鏡面磨きを本格的に始めました。もともと靴磨きは趣味でやっていました。とにかく革製品が好きでお手入れしていくとエイジングがしていくところが大好きでした。そんな時にインスタグラムでPORORIさんを知りそれと同時にコードバンと出逢いPORORIさんにメッセージで色々とどんな道具使っているかなど聞き、「クレム(saphir社の製品)を使っているよ~」などと道具の事を色々と教えてもらって、いつの間にかコードバン沼に。。。(笑)

話は過去に遡りますが、もともと僕は警察官だったんです。いつか自分で商売をやってみたいという気持ちが学生時代からあり24歳の時に警察官をやめて、営業系の仕事をしようと住宅メーカーに転職しました。その時に営業マンたるものきちんとした革のバッグを持っていないといけない!と思いココマイスターのダレスバッグを買ったんです、これが革製品にはまるきっかけです。そう考えると色んな出会いなど通じて今に至りますね。

・須藤さんのお店について教えてください。

先月新しいお店をOPENしました。知人の力を借りて自宅からも近く青森市内でも中心地からほど近いところに良い物件があったのでここは勝負と銀行から融資を受けて今回の新しいお店を作りました。学習塾と新聞屋に挟まれているちょっと知的な物件です。

もともとは2019年11月にドンドンタウン(地元の古着屋)で場所をお借りして週5の営業を1年間ほど続けたのちにARIZONA HIGHWAYというアメカジショップの店長さんに気に入ってもらったのもあり2020年12月頃から本格的に移転。

そこで出会ったお客様は長く使える良い物を求める方々ばかりでしたので靴磨きと良いシナジーが生めました。その時に出会ったお客様は合計で2~300人、磨いた靴は数千足に至ります。今のお店をOPENする前にはそういったお店さんや関係者の方々、お客様方との出会いが欠かせなかったなと思っています。

・須藤さんの考える靴磨きの魅力はなんですか?

自分はシンプルに“自分が手をかけた分だけ輝いてくれる”ってことかなと。靴はその人の顔だと思っています。現英国国王のチャールズ三世の靴とかボロボロでひび割れだらけだけど修理しながら大切に履いているじゃないですか、ああいうのはめちゃかっこいいなと思う。

ぼく元々物を捨てれないタイプなんですよね、とくにオモチャとかぬいぐるみとか欲しくて買ってもらったものは絶対に捨てられないです(笑) 物にどんどん思いが入っていくのでいつしかすべての物が相棒になっていく。使い捨てが多い現代に物を長く使うことがもっと浸透すれば社会にとっても良いし、人にも良いと思っています。そういうことを靴磨きを通して伝えていきたいですね。

後編に続きます!お楽しみに!