「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」其の伍
シリーズでお届けする「長谷川裕也の熱烈靴磨き道場」。第5回目は、靴磨きをする上での「第2工程目」について。長谷川裕也が熱く語ります。
前回は靴紐を外すとう工程を通して“紐の通し方”の種類についてお話ししました。靴紐を外して磨くことで靴を隅々まで磨ける上に紐自体の劣化にも気づく良い機会にもなります。
靴紐を外すことで靴の中を綺麗に拭くという工程もやりやすくなるという利点もあります。という訳で今回は全工程16のうちの2工程目の”ライニングのケア”についてお話しします。
靴の内側は普段目にすることがない分どれだけ汚れているか認識できていないことが多い部分です。汚れると言っても靴の外側のように外的な要因で汚れるという事はあまりなく、おおくは足の汗による革の劣化や埃の蓄積です。
ライニングの劣化に関しては正直ケアをすることは難しいというのが実情です。と言いますのも足に直接触れる部分であり靴の中は蒸れやすいのでクリームを塗ったりすることはあまりお勧めできないからです。
よほど革が固くなってしまいひび割れているような状態であればその部分だけクリームを入れて保革しても良いのですが、硬化してしまった革は元には戻らないので上から新しい革で補修する方が良いでしょう。
となるとライニングのケアは何をすべきなのかと言いますと、シンプルに”靴の中を綺麗に拭く”ということです。ただ乾拭きではなく除菌剤で拭き取り、その際に靴の中に溜まった埃もしっかりと除去します。
まず靴の中に1プッシュ除菌剤を吹きかけます。この際に革のダメージを与えないように専用の除菌剤を使うのがお勧めです。アルコールでも少量であれば大きな問題はありませんが、どうしても革を痛めてしまうので当店の「THE ANTIBACTERIAL SPRAY」のように革に無害の物を使うと安心です。
靴の前側に向かって吹きかけてから同じ除菌剤を含ませた使い捨てのコットンパフで靴の中全体を拭き取ります。ウェットティッシュでも良いですよ。
まずはカカトを拭いて、そのまま前方へ移動し最後はつま先の方までグッと手を入れて拭いていきます。その際につま先の上部(足の爪が当たるエリア)もしっかり拭きましょう。ここに沢山の埃が蓄積していることが多くコットンパフを取って見てみるとゴッソリ埃がついていてビックリすることが多々あります。
それを両側に行えばライニングのケアは完了です。目に見えない部分ですが定期的にこの除菌とクリーニングをすることで靴の臭いを抑えることにもつながります。また夏の時期はカビが生えてしまったりすることも多い場所なので除菌と抗菌をすることでカビも抑えられるので一石二鳥でしょう。
そしてこのライニングケア時のポイントとしてもう一点、ライニングに穴が開いないかの確認も同時に行いましょう。
特に小指の部分などは当たる部分なのでよく穴が開いてしまう部分なので要注意です、このライニングに穴が開いてしまうと指が直接アッパーの革を裏側から当たるようになってしまうのでそのままクラック(ひび割れ)の原因になってしまいます。クラックしている靴をみるとほとんどの確率でライニングの革に穴が開いています。なので早めに気づいたらすぐにパッチを貼ることをお勧めします。
そうすることでアッパーのクラックの予防にもなり愛靴を長く履くことにも繋がるからです。見えないところを大切にする。人の生き方としても同じことが言えるかもしれませんね。
次回の長谷川裕也の靴磨き道場 其の陸では”ホコリを払う、馬毛ブラッシング”についてお話しします。2022年も残りわずか、今年一年お世話になった靴達を労い気持ちの良い新年を迎えるためにもぜひ自身の愛靴達を磨いてあげてください。それではまた次回!押忍押忍押忍!